愛に乱暴

2024年8月公開

原作:吉田修一『愛に乱暴』(新潮文庫刊)
監督・脚本:森ガキ侑大
脚本:山﨑佐保子/鈴木史子
音楽:岩代太郎

製作幹事:東京テアトル/読売テレビ 
制作・配給:東京テアトル 
制作プロダクション:ドラゴンロケット
©2013 吉田修一/新潮社   ©2024 「愛に乱暴」製作委員会

8/8(木)ティーチイン付き試写会レポート✏

2024/08/13 18:34 up!

日本最速ティーチイン付き試写会!観客からの反応は・・・

8月8日(木)に都内でティーチイン付き試写会が開催され、上映後には森ガキ侑大監督が登壇し、観客からの質問に答えながら、本作への思いや作品に散りばめられた様々な意図を明かしました。

 

『愛に乱暴』を見終えたばかりの観客の前に登場した森ガキ監督は「楽しい時間を紡げたらと思います」とにこやかに挨拶。
MCからこれまでの森ガキ監督作品の共通点を聞かれると「社会から意図せず弾き飛ばされてしまった人々の物語に惹かれます。僕自身、たまにふと『孤独だなぁ』と思うことがありますし、生きにくい社会になっていることも感じます。主人公の桃子の身に降りかかる出来事は、女性のみならず男性も共感できると思い映画化しました」と明かしました。

桃子を演じた江口のりこさんについては「カメラは全編ほぼずっと桃子の姿を捉えているんですが、実はそんなに桃子の台詞は多くないんです。昨今は説明過多な映像が多いなと感じていたので、なるべく省きたかった。台詞はできるだけ少なく表情と佇まいだけで語りたくて、そんな要望を江口さんは見事に成し遂げてくれました」とその演技力について太鼓判。チェコのカルロヴィ・ヴァリ映画祭でも「『義母とけんか腰に話しているシーンで、夫が入ってきた瞬間に表情が少し変わる。ちょっと乙女になるのがわかった。彼女は素晴らしい女優ですね』という声をいただきました」と海外でも江口の演技に称賛が集まったことを披露しました。

 

*森ガキ監督ティーチイン内容*

Q 桃子が夫の不倫相手の家を訪れるシーンでスイカを持っていたのはなぜ?

A「桃子は日本的なマナーが染みついた女性。不倫相手に対して憎しみはあるけれど、家を訪問する際はなにか手土産を持っていかなくてはいけないと思っているんです。また夫の真守を尾行した際、真守がカットスイカを愛人宅に持って帰るのを目撃します。それが桃子の心に残っているのです」

 

Q スクリーンサイズをスタンダードサイズにした理由は?

A「本作は桃子の一人称で語る物語だったので、彼女の姿に焦点をあてるために4:3のスタンダードサイズにしました」

更にフィルムでの撮影について、
「この人間の生々しい物語をデジタルでは撮りきれないと考え、フィルムでやりたいと製作陣にわがままを言いました(笑)。通常の映画より画角が狭いので、演技の動線を計算しつくし、奥行きが感じられる画作りにこだわりました」と解説しました。

 

Q 母屋とはなれがあり、おばあちゃんの家みたいで懐かしかったのですが、セットではないとのことで、どうやって見つけたのでしょうか?

A「桃子の家の条件として、周りにコンビニがなく、ゴミ捨て場が近くにあって、母屋とはなれはL字型に配置されていて、はなれは平屋で、なおかつ床下が自由に掘れて、最後は〇〇できる(ネタバレなので伏字)ところ…というものだったのですが、チームみんなから『絶対無理だろ』と思われていたんじゃないかな(笑)それでも諦めず一丸となって探してくれて、1年ぐらいかかりましたが理想どおりのあの家が見つかりました。海外でもロケ地が一番の話題で、『セットだと思っていた、クレイジーすぎる!』と言われました」

 

最後に森ガキ監督は、「細かな伏線が散りばめられているので、二度三度と楽しめる作品だと思います。映画を制作するときにはいろいろな条件があり、なかなか思い通りには作れないことも多いのですが『愛に乱暴』はやりたいことが叶った作品。気に入っていただけていたら、ぜひ宣伝に力を貸していただけると嬉しいです。いろんな人に勧めてください!」とアピールし、ティーチイン付き試写会は無事終了しました。